2016年の映画色々

今年は豊作だったのでベスト25にしました。全部本当に大好きでしょうがないやつです。

 

1エブリバディ・ウォンツ・サム‼︎ 未来はボクらの手の中に
2ソング・オブ・ザ・シー 海のうた
3森山中教習所
4クリード チャンプを継ぐ男
5ヒメアノ〜ル
6アメリカンスリープオーバー
7アイアムアヒーロー
8スポットライト 世紀のスクープ

9シン・ゴジラ
10ディーン 君がいた瞬間

11この世界の片隅に
12スティーブ・ジョブズ
13ローグ・ワン スターウォーズストーリー
14レヴェナント 蘇りし者
15ボーダーライン
16デッドプール

17 11ミニッツ
18何者
19オーバー・フェンス
20シングストリート 未来へのうた
21オデッセイ
22ドント・ブリーズ
23君の名は。
24ロブスター

25傷物語熱血篇

 

他にもサウルの息子、 ディストラクションベイビーズ、クリーピー、キャロル、ルーム、コップカー、LOVE3D、エージェントウルトラ、エクスマキナヒッチコックトリュフォーなんかも相当良かった。クリムゾンピークもいいマジカルガール大好き神様メール10クローバーフィールドレーンなんじゃこりゃマネーショートおぉ…ヘイトフルエイトオープニングすげぇ死霊館エンフィールド事件良く出来てる遊戯王泣いたバットマンvsスーパーマン最高だ…

今年は面白い映画がありすぎて幸せだった…

 

以下暇な時適当に感想を書いてきます。

25位 傷物語 熱血篇

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とにかく絵が凄まじいの一言。原作に一応あるロジカルな倒し方とかも一切説明してないこととか逆に潔くて好きだし、絵に全力注ぎ込みすぎて一瞬たりともつまんない絵がない。鉄血篇の話何も進んでない感がすごい嫌だったし今回もそんなに展開は無いけどこうまで自分突き通されるともうすげえ…としか言えない。正直凄すぎてビビりました

24位 ロブスター

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今年見た映画の中で一番意味わかんない設定でしたけど話はよくあるファムファタル的逃亡劇やっててそのギャップが新鮮でした。あと画面がいちいちかっこいいんだよな。籠の中の乙女の謎ダンスを今回もやってたので最高です。

23位 君の名は

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22位ドント・ブリーズ

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普通に面白いとはこのこと。しかもこの映画の場合中盤のあの部屋が出てきてから面白さも普通を超えてくるっていう。全ての伏線が回収されていくので見てて気持ち良く傑作だと思います。序盤のスムーズに移動するカメラと小物をじっくり見せるショットは後からはぁー良く出来てんなぁ〜とため息ついてしまった。

21位 オデッセイ

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20位 シングストリート 未来へのうた

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楽しい 80年代の音楽(特にup)と落ちこぼれの兄貴のキャラが良かった。両親の喧嘩の逃げ場が音楽だったのかなと兄貴について思えば思うほど泣けてくる。主人公が音楽より女ばっかり追っかけてて嫌という意見もわからんじゃないがそもそもサクセスバンドストーリーではなく青春音楽映画なんでそこは全然気にならなかった。ラストのオールオッケーではない突き放し感がいい

19位 オーバー・フェンス

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地方都市の気だるさ、特に北海道感を全身に食らってその既視感に涙が出るほど辛くて死ぬかと思った。

18位 何者

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17位 11ミニッツ

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16位 デッドプール

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読者の予想を裏切るひねくれたメタキャラのくせに恋愛とか理不尽な不幸とか誰にでもあてはまる至極真っ当で普遍的なことに悩んでてそしてその展開から逃げてないことに本当に感動した。辛さから逃げるための身を守る手段としてあぁいうキャラになったのかなと想像させるデップーが愛おしく思えこいつらにまた会いたいし幸せになってほしいと心底思う。なんて健気で不憫なやつなんだよ…「でもこれはCMタイムなのさ」とかそんなこと言うなよ…!グゥ…(落涙)

15位 ボーダーライン

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ドゥニヴィルヌーヴが本当に好きでこの人が作る映画ならなんでも大好きなんですけど今回も期待を裏切らず最高でした。まず最初のエッグい死体にジワジワ近づけるカメラからして普段の娯楽映画とは違う異質さを感じるし、低音響かせ不安を煽る撮影は言わずもがなベニチオデルトロの圧倒的存在感はマジでなんなんだ…その割に初登場時は見切れてるのもおっそろしい見せ方だな…

14位 レヴェナント 蘇りし者

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イニャリトゥ特有の人物間をグニャグニャ縦横無尽に動くカメラ、バードマンという舞台よりは逃亡劇という状況がマッチしていてかなり面白かったです。やったことないけどVRってこんな感じなのかなぁってぐらいの凄まじい臨場感。トムハーディのゲスっぷりも画面からビシビシ伝わるクソ寒い地獄めぐり感も最高でした。全編本当に汚いんですけどまあ生きるってのは汚ねえもんだよなと思いました。

13位 ローグ・ワン スターウォーズストーリー

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はっきり言うと一本の映画としては全然ダメだと思います。キャラが全員弱すぎるし前半は何の引っ掛けにもなってないしそれが響いて後半もいまいち乗れない部分もなくはなかった。でもなんでこんなに好きなのかっていうと、だってスターウォーズの世界だから…ということで、デススターの設計図を盗んだ反乱軍の物語をやるという企画を聞いた時点で泣いてたのでそれでいいんだ…ありがとう!!以上!

12位 スティーブ・ジョブズ

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製品発表会直前の話(40分)×3の構成ってのがまず凄まじい。しかも内容もかなり似てるっていう、お前らこんな時に喧嘩やめろと言いたくなるようなしょーもない感じなんですけどその中でうっすら現れる人間関係の変化、ジョブズ自身の成長を浮かび上がらせるアランソーキンの手腕にただただ感心しました。すげー面白い

11位 この世界の片隅に

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内容の良さは言わずもがな、個人的にグッときてしまったのは、作中に「大ごとだと思っていた頃が懐かしい」「何も知らなかった頃に死にたかった」というセリフが出てくるが、まさにそのテーマこそ今年自分が強く思っていたことでもある。つまり「変わってしまった今現在の自分から俯瞰して見た過去の自分の未熟さやその不憫さという感情について」ということで、しかし未熟だろうとなんだろうとその頃の自分は自分なりに精一杯頑張って生きていたのだ。そんな自分の記憶なんかも微妙に刺激される映画でもあった。

10位 ディーン 君がいた瞬間

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ジェームズディーンの伝記映画というよりはディーンのある時期を切り取った青春映画という感じで、ある時期とはつまり死の直前なんですけどこの作品の全編流れる濃厚な死の匂いが青春映画として最も大事な「別れ」を強く意識させるかなりの傑作だと思います。デハーンはいつもお見事。

9位 シン・ゴジラ

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怪獣映画としてのゴジラだけではなくまさに今の日本の象徴としての様々な意味を孕んだゴジラを見れたことが今年最大に嬉しかった。

グラフィカルな決め絵と多用される引き画、抑えられた演技、破壊される東京の美しさと悲しみ…… 後半のヤシオリ作戦の雑さとオタク的な盛り上げに少し嫌な部分も感じたけれど日本映画でもここまでやれるという意地を見た。これを見た後ギャレゴジを思い返すと結構腹立ってくるっていうことでも個人的にかなりの表現革命が起きたのではと思います。

8位 スポットライト 世紀のスクープ

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弱い立場のものが自分だけの武器で一発やってやるという話が好きなので、一つ一つ丁寧に掴んだ事実がささやかに実るラストは粛々とした喜びを感じました。

7位 アイアムアヒーロー

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文句なしの実写化といえば今年はこれ。単行本1巻のテイストをほぼなぞるような丁寧な序盤の進行とそこからの畳み掛けるような作劇、徹底的なゴア描写、そしてそこからのロッカーのあの名場面と来たるラスボス戦!、最高な一本です。

6位 アメリカンスリープオーバー

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 これほど山がない映画も少ないのでは、というぐらい劇的な何かは起こらない。スリープオーバーという一夜のイベントで文字通り今その瞬間だけを切り取られる少年少女のそれぞれの存在が眩しく、時に切なく感じられる、かなりの名作だと思います。イットフォローズも良かったけど個人的にはこっちの方がすげえもんを見た…という気持ちになった。

5位 ヒメアノ〜ル

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4位 クリード チャンプを継ぐ男

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3位 森山中教習所

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完成度という点ではそんなに高いとは言えないしなんならクリードの方が面白いんだけどそういうところでない部分の扱うテーマ自体が最近自分の考えていることにもろに重なってしまったタイミングの良かった作品。正直トドロキの決断は俺にはわからないが、ただやめないことを決めた彼の心の変化にやられてしまった。

  

2位 ソング・オブ・ザ・シー

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子供ゆえの非合理的行動がそのまま可愛さにもなりそれが不憫さにも繋がっている。ベンは妹のシアーシャにいつも横暴な態度を取ってしまうが、だからこそ本人ですら忘れていたその理由を思い出した時、母がいなくなる前に感じていた妹への愛も同時に思い出す場面に心底感動したし子供の時は理由もわからないことに不安になって泣いたり周りを攻撃するもんだったなと自分の記憶も喚起される素晴らしい物語だった。この不憫さからくる切ない気持ちはキアロスタミの「友だちの家はどこ?」「柳と風」で描かれる子供の描写と似ている。

アイルランドの広大な風景をシンメトリックなアートにデフォルメし幻想的に描く演出も素晴らしい。子供から見た外の世界の神秘的な美しさとそしてその恐ろしさというものを視覚的にばっちり感じさせれていたとも思う。ウォンツサムが出てこなかったらこれがダントツ1位でした。

 

1位エブリバディ・ウォンツ・サム

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リンクレイター十八番の何かと何かの間を描いた大傑作。基本バカ共の馬鹿騒ぎが9割だが、同時に徹底的にエモーショナルさを排除した品の良さも両立している。全編がしょーもないギャグばっかりで話なんてないようにも見えるが、自分はこの作品に「何かを好きでいることの呪い」がテーマでもあるように感じた。野球にほとんどを費やしてきた主人公は寮に入り大学入学前三日間の中でこれまでの人生で知らなかった多くの楽しいことや様々な人間に出会う。それにつれてプロに必ずなれるわけでもないことも知りならばプロになれないのならこの時間は無駄なのだろうか?という不安を薄々感じているような表情を中盤に見せる。しかしその答えはラストの時間が止まったような湖でそっと教えられるのだ。「何かに夢中になれるのはそれだけで本当に素敵なことだ」と。

大学最初の授業が始まるところでこの映画は終わる。未来への可能性がひらけた状態で終わる希望に満ちたラストだが同時に何故か物悲しくもあるのは、1980年というもう終わってしまった過去を今現在観客が置かれてる時代から振り返って見てしまうという構図になるためではないだろうか。最近自分がよく考えていたことに一つの答えをくれた今年一番心に残った映画です。